「高分子材料」は、汎用プラスチック用途だけでなく、高度情報社会/医療分野を支える高機能素材として安心・安全で快適な生活に欠かせないものになりました。ナノテクノロジーの急速な進展にともない、分子レベルで緻密に設計された高分子材料は未来社会を支える基幹技術として多大な注目を集めており、自由な発想と独創的な技術による次世代型高分子材料の創成が強く望まれています。
私たちは、ナノ構造、分子間相互作用と分子運動特性の時空間制御に基づく先端高分子材料(ソフトマテリアル)の創製に関する研究を行っています。
研究分野: 高分子化学・集合分子化学・表面化学・超分子化学
分子レベルで構造制御された高分子材料の分子鎖凝集状態、構造形成プロセスと物性の解明を目指しています。分子構造を緻密に制御したブロック共重合体、電界紡糸ナノファイバー、ナノインプリント凹凸構造、熱可塑性エラストマー、有機半導体等の多様な高分子材料における、分子鎖凝集構造、変形・凝集過程における凝集構造変化を、放射光X線回折/散乱測定や電子顕微鏡、原子間力顕微鏡等の構造解析手法により明らかにし、分子レベルでの構造形成に基づく物性発現機構の解明、新規高機能高分子材料の創成を追求しています。
高分子鎖を材料表面から成長させると絨毯のような高分子薄膜が得られます。これをポリマーブラシといいます。ガラスや金属基板表面に厚さ100nm程度のポリマーブラシを生やすだけで材料表面の濡れ性や撥水性が改質され、摩擦特性、接着性や防汚性なども劇的に向上します。また、溶液中でも高分子鎖末端が基板と結合しているため溶け出したり剥離したりすることもありません。この技術は新たな表面改質法として注目され、高機能ソフトインターフェースとして期待されています。ポリマーブラシの分子設計から、X線や中性子線を用いたポリマーブラシの構造解析、物性評価に至る幅広い研究を展開しています
高分子材料の改質手法として異種材料の複合化が盛んに行われています。天然無機粘土鉱物の中空アルミノシリケートナノファイバーである「イモゴライト」「ハロイサイト」や、磁性ナノ粒子「マグネタイト」を用い、界面の選択的表面修飾による相互作用制御に基づく新規(高分子/無機)ナノ複合材料を構築し、複合材料の構造解析と物性評価を行っています。環境にやさしい生分解性高分子を組み合わせることで、環境負荷の少ない「グリーンナノハイブリッド」材料の開発も行っています
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